求人広告で多い「幹部候補募集」の文言。
幹部候補で転職、はとても魅力的です。
「転職するならキャリアップ!」「少しでも待遇のよい会社に転職したい!」というのは転職を考えている人なら誰もが思うことです。
しかし、この「幹部候補募集」という甘い言葉には裏が隠されているケースが多数あります。
ブラック企業に多いケースが、人材不足を補うために募集が集まりやすいように「幹部候補」と記載している場合です。


「幹部候補」で転職したい人はしっかりとした企業リサーチをしなけれなりません。
ということで今回は、注意したい「幹部候補」の転職について、現状と「本物の幹部候補」の求人を見極めるコツをご紹介します。
「幹部候補」の転職とは
幹部候補の転職で求められていることは何でしょうか。
ここでは、一般採用と違う幹部候補について紹介します。
会社の幹部ってどんな役職を指すの
会社にはさまざまな役職が存在します。
一般的な日本企業の役職についてご紹介します。
経営者
- 会長
- 社長
- 副社長
- 専務
- 常務
従業員
- 執行役員
- 部長
- 次長
- 室長
- 課長
- 主幹
- 主査
- 係長
- 主任
その他「マネージャー」や「リーダー」といった名称の役職もあります。

会社法や労働基準法では「経営者」側と「従業員」側で分かれますが「社長」「部長」「課長」「リーダー」といった役職呼称は会社が独自に決めることができます。
ただ一般的に「幹部」となると部長クラス以上を指す場合が多いです。
しかし明確な定義はなく、企業によって「課長以上は幹部」「リーダー以上は幹部」といったり定義は曖昧で異なりま。
そのため「幹部候補」とうたって「なんだか上のポジションで入社できるのかな」と期待させて実は社員全員が「リーダー」で結局社内の立場は一番下だった、なんてことが起きるのです。
「幹部候補」で転職をするメリット 「一般採用」との違い
幹部候補のメリットは、早い段階で幹部になるための教育を受けられることや経験を積めることです。
企業は幹部候補を決めることで、本人の幹部としての自覚をさまざまな方法で促しますので、一般採用よりも多くのことを学ぶことができます。
ただしあくまで求人を出している企業が定義する「幹部」でありさらに「候補」なため、必ず幹部になれるという確約ではないので注意しましょう。

幹部候補で転職するために求められる資質について
企業経営において幹部候補を育成することが非常に重要であるため、その育成と採用に力を入れている企業が増えてきました。
幹部候補に求められる資質は、広い視野と柔軟な思考能力、経営者としての視点、ヒューマンスキルです
一つずつ詳しく紹介します。
会社全体を把握する広い視野
幹部候補に求められる資質に、会社全体を把握する広い視野を持っていることがあげられます。
幹部以下のスタッフは、任された仕事を期限内に終わらせることや、部下の仕事進行を管理するなどに、重点を置きます。
そこで会社としてのリスクや利益などを全く意識しないということはないにしても、その割合は低く、平たく言うと「任されたことをやるだけ」です。
幹部となる人は、任された業務をやることは当然であり、その一歩先を見なければなりません。
他部署の業績につながるように意識したり、会社の成長につながる業務を常に意識したりする必要があります。
部下・仕事のマネジメント
幹部となると当然部下がついたり業務全体を組織のメンバーと担当することになります。
部下を指導育成したり、業務全体の進捗を管理したりと、組織全体のマネジメント力が必要になります。
とくに部下を指導できる幹部がいまは本当に少なくなっています。部下の指導で結果を出している人は幹部候補の転職市場では高く評価されるのです。
時代に合わせた柔軟な思考能力
目まぐるしく社会情勢が変わっていますので、一世代前のやり方が通用しないことも多くなってきました。
時代の変化に敏感で、柔軟に対応できる思考能力は、会社の成長に欠かせません。
自身の成功体験から抜け出せず、1つのやり方にこだわっていると、気づいたら時代遅れになっていたということも珍しくないでしょう。
会社が存続するためにも、時代の変化に柔軟に適応できる人材は、幹部候補の資質があると言えます。
経営者としての視点がある
幹部候補者は経営者としての視点が求められます。
- 「今後社会はこう変わっていくだろう。」という先見性
- 「その変化に、会社はこう対応していこう。」という計画性
- 「そのためにこうしていこう。」という実行力
経営的な視点を持つためには、普段から専門分野以外のことにも興味を持ち多方面からの情報収集を行うこと、そして社員の特性や考え方などを把握することが大切です。
あらゆる情報を総合的に考え、会社の利益となる提案や立案を行えることが幹部候補の資質と言えるでしょう。
ヒューマンスキルが高い
ヒューマンスキルは幹部候補として重要なスキルの1つと言えます。
ヒューマンスキルとは対人関係能力とも呼ばれ、人間関係を良好にするために幹部候補者の必須スキルです。
ヒューマンスキルは7つのスキルを指し幹部となる人材は、これらのスキルが高いことが望まれます。
- コミュニケーション能力
- 交渉力
- ヒアリング力
- プレゼンテーション能力
- 動機付け
- 向上心
- リーダーシップ力

「人たらし」と呼ばれる人は、これらの能力が非常に優れている場合が多く、「この人と一緒に働きたい」「この人のために成功させたい」と周りの人をどんどん引き込み味方を増やしていくため、事業を進めるうえで有能な能力と言えます。
幹部候補になる人はできる限り身につけたいスキルです。
「幹部候補」の転職は注意が必要!「幹部候補」採用はブラック企業の常套句
転職を考える時、誰しもが待遇の良いところに就職したいと考えると思います。
収入が上がったり、役職が付いたりすると、自分の経歴にも拍が付くので魅力的に感じます。
しかし転職時に「幹部候補」採用での就職は注意しましょう。
ブラック企業が、人材集めのためだけに謳っている可能性がありますので、事前調査が非常に大切です。
ここではブラック企業における「幹部候補」募集の裏について紹介します。
幹部候補=将来のポスト確約ではない
幹部候補として転職したとしても、将来のポストを確約するものではないです。
あくまで「候補」ですので、他にも候補となる人材がいるはずです。
入社後に幹部候補者同士を比べて優秀な人材が、幹部として昇格できるという可能性も十分にあります。
「そんなはずではなかった」ということにならないよう、事前に確認することが重要です。
幹部候補をちらつかせて転職を急かすケースも
ブラック企業は人材不足が深刻な場合も多く、転職を急かすケースがあります。
なかなか内定を承諾せずにいると「幹部候補として考えている」などの条件を口頭で示すことで人材確保を急いでいるのです。
「未経験でも管理職候補」は要注意!みなし管理職のことも
みなし管理職とは、名ばかりの管理職のことです。
- 経営に関する決定権が全くない
- 部下がいない。いても人事権がない
- 業務の中心が管理職以外のスタッフと同等
- 勤怠管理が管理職以外のスタッフと同じ
- 残業時間が管理職手当に見合わない
など、時間外手当や経営の決定権が不当である場合をみなし管理職と呼びます。
募集要項に「未経験でも管理職候補」と記載されているケースでは、このような待遇である場合が多いためブラック企業の可能性が高いです。
ブラック企業の見抜き方
ブラック企業を見抜くポイントをご紹介しています。
本当の「幹部候補」転職とブラック企業 正しい見極め方
「幹部候補」を募集している全ての企業が、ブラック企業ではありません。
そこまで悪質な募集をしている企業は少ないと思いますが、ゼロではないことも事実です。
ここでは、本当の「幹部候補」転職とブラック企業の「幹部候補」転職の正しい見分け方を紹介します。
本当の管理職採用は「ポスト」が決まっている!
本当の管理職採用は採用時に「ポスト」が決まっています。
とりあえず数か月は、一般職のスタッフと同等の業務を行い、仕事に慣れた頃に昇格するといった口約束の場合は、入社後にうやむやにされる可能性があります。
本当の幹部候補転職は明確に役職名が決まっており、業務に慣れるために一般職の業務をするとしても入社と同時に幹部の役職で働くことになります。
入社後にその役職に昇格するとしても、「いつからこの役職として働くから、それに向けた業務を1ヶ月で引き継いで欲しい」と具体的な業務内容と期間を提示する場合は、信用性が高いと考えられます。
面接で分かる!マネジメントについての突っ込んだ質問がある
幹部候補に必要なスキルは、マネジメントスキルです。
- 組織をどう成長させるか
- 部下の指導・マネジメント方針
- 会社全体を見渡せる広い視野
- 柔軟な思考能力
などを備えていることです。
面接時に会社の経営に関する質問やこういったマネジメントスキルについて質問があるような会社は幹部候補として考えてもらっている可能性が高いです。
要注意!幹部候補なのに実績やスキルの要求がない
幹部候補なのに実績やスキルなどの提示を要求されない場合は、「幹部候補」とうたいながら現場スタッフと同じ仕事させる人材不足のブラック企業である可能性が高いです。
「幹部候補」という常套句で転職希望者を集めて、とにかく人材不足の解消を目的としているケースが多いので、就職を決める前に十分にリサーチしましょう。
常に求人が出ている企業はほぼブラック企業
常に求人が出ている企業で、かつ「幹部候補」募集が多い場合、ブラック企業と言えるでしょう。
人材不足のため、幹部候補ではないが「幹部候補」として募集している可能性もありますし、実際に会社の幹部の出入りが激しい可能性もあります。
そのような企業は、企業体制に何らかの問題を抱えていることが考えられます。
社長がワンマン経営をしていて、嫌気がさして辞めていたり、給料と業務内容のバランスが悪かったりとさまざまな理由がありますが、いずれにしても幹部候補求人を常に出している企業は注意しましょう。
参考ブラック企業を見抜け!事前のリサーチと面接でブラック企業を見抜くポイントとは
補足:転職口コミサイトなどで事前に確認すると安心
転職口コミサイトで事前に企業情報を集めることは有効です。
転職エージェントに登録すると、さらに詳しい企業情報を得ることができますので、転職エージェントの担当者に確認すると安心です。
1社、2社だとわからないこともありますので、集める情報が偏らないように注意しましょう。
転職口コミサイト
信頼できる転職口コミサイトを4つご紹介。
幹部候補での転職 入社前に確認すべきこと
幹部候補での転職において、入社前に待遇や業務内容、社風など確認することは非常に大切です。
自分が幹部として働くイメージをある程度作ることで、入社後スムーズに業務を進めることができます。
ここでは幹部候補での転職で入社前に確認するべきことを紹介します。
入社前に新しい会社の社風を理解する
幹部候補で入社すると、入社直後に部下を持つ可能性もあります。
今までのやり方を新しい会社でやると反発を受けるかもしれません。
最初に部下との関係が悪くなってしまうと、その後の業務遂行に影響がでますので、初期対応は非常に肝心です。
そのためにも新しい会社の社風などを事前に把握しておくことは部下との摩擦を軽減することにつながります。
待遇や仕事内容を確認する
幹部候補での転職の場合、入社時は幹部ではありません。
入社前に文書で確認しておくことで、入社後の相違が少なくなります。
- どのような待遇に変わっていくのか
- 仕事内容に変化はあるのか
- 事前に準備することはあるのか
サービス残業や仕事量が多すぎないか事前に必ず確認を
幹部候補として入社すると、幹部としての仕事を幹部になるまえから、任されることもあります。
すぐ幹部になるからと、サービス残業を強いられたり任される仕事量が多すぎたりすることがあるかもしれません。
- どのような仕事を任されるのか
- 時間外手当は付くのか
などについても事前に確認し、なるべく相違がないように対策をしましょう。
新しい会社でも協調性をもって柔軟に
幹部候補として入社したとしても、新しい会社では入社1年目です。
入社すぐに横柄な態度をとったり、出過ぎた行動をとったりすることは控えましょう。
最初は謙虚に協調性を持って柔軟に対応し、スタッフとのコミュニケーションを優先させることが大切です。
幹部候補で転職は要注意! まとめ
幹部候補での転職について紹介しました。
幹部候補の求人には注意点がたくさんあります。
- 本当に幹部としての採用なのか
- 幹部としてのスキルは足りているか
などさまざまなものがありますので、転職活動中も入社後も常に注意と配慮していかなければなりません。
しっかりと自分に適した転職先を見つけ、幹部候補として入社後も適切な対応をとることが、転職を成功させる秘訣です。

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