近年、AI搭載のクラウド会計の普及により税理士不要説を言われたり、公認会計士も景気による上場企業の増減により監査法人での仕事量が変わるので不安定、などと言われてしまうのが税理士・公認会計士の求人状況です。

たしかに会計ソフトは以前より格段に優秀になり、仕訳もある程度自動的に行えるようになりました。基本的な事はネットで調べればいくらでもでてくるので小規模事業者はわざわざ高い顧問料を払ってまで、税理士を雇うということが減って来ているのはあります。
またリーマンショックのときのように景気が著しく悪くなると上場する企業も減るため、監査法人での仕事が少なくなり公認会計士が求められることもなくなります。リーマンショック直後は多くの公認会計士がリストラや職につけない、となったのを記憶しています。
せっかく資格をとったのに税理士事務所や監査法人で働いていると将来が不安、そんな風に感じている税理士・公認会計士も多いはず。
しかし税理士・公認会計士は最難関の国家資格です。
税理士事務所や監査法人では当たり前の資格かもしれませんが、少し視野を広げて転職先を事業会社やコンサルティングファームと考えれば、企業によってはとても重宝させる資格なのです。
そこで今回は税理士・公認会計士の転職についてご紹介していきます。
税理士登録者数は増えている
「税理士になる人が減っている、税理士試験合格者が減っている」と言われていますが、実際には税理士登録者数は減っていません。
これは国税庁が掲載している税理士の登録者数です。
税理士登録者数
会計年度 | 登録者数(人) |
1960年度 | 10.888 |
1965年度 | 15,827 |
1970年度 | 24,024 |
1975年度 | 32,436 |
1980年度 | 40,535 |
1985年度 | 47,342 |
1990年度 | 57,073 |
1995年度 | 62,550 |
2000年度 | 65,144 |
2005年度 | 69,243 |
2010年度 | 72,039 |
2013年度 | 74,501 |
2014年度 | 75,146 |
2015年度 | 75,643 |
2016年度 | 76,493 |
2017年度 | 77,327 |
「税理士になる人が減っている、税理士試験合格者が減っている」と言われているのは、税理士試験を一部免除されて税理士資格を取る人が増えているからです。

将来性が不安と言われているにも関わらず税理士自体は増えているので、将来の転職先はしっかりと考えていかなければなりません。
税理士・公認会計士の主な転職先
税理士・公認会計士の主な転職先は主に以下です。
税理士事務所・税理士法人
税理士事務所・税理士法人に入り企業の顧問対応をします。企業の税務相談や決算書の作成、税務調査対策などが中心業務です。
税理士事務所・税理士法人といっても全国に2万事務所以上あり、BIG4と言われる巨大税理士法人や辻・本郷税理士法人のように職員1,000人以上を抱える法人から、自宅兼事務所で所長1人の税理士事務所までさまざまです。
規模も様々なので年収も事務所によって大きく異なってきます。
いずれ自分自身も独立して税理士事務所を構える方におすすめの転職先です。
監査法人(公認会計士)
公認会計士なら監査法人への就職というのがあります。
監査法人は、景気の善し悪しに大きく左右されます。景気が良く上場を目指す企業が増えるときは監査法人も人手不足になるので採用も活発となり、公認会計士資格所有者の売り手市場になります。しかしながらリーマンショックのように急激な景気悪化となると求人が一気に減ることになります。2019年現在では積極的採用が行われているので売り手市場です。
監査法人の年収はスタッフクラスで500万円〜700万円、上級のマネージャー・パートナークラスになると1,000万円を超えてきます。
事業会社(一般企業)
税理士・公認会計士の転職先でおすすめなのが、自社で事業を行っているような事業会社への転職です。
企業に入り、経理などの管理部門や財務部門を担当します。企業規模によっては税理士・公認会計士の資格ホルダーは大変重宝されます。
伸び盛りの企業に入り管理部門の責任者になることでキャリアアップ・年収アップを狙えます。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームへ転職する道もあります。
クライアントの事業戦略を考えたり、税務アドバイス・M&Aなどサポートしています。
ただの税務会計に関する知識だけではなく、コンサルティング能力、問題解決力、また交渉力・プレゼン力が必要とされるので、ただの税理士・公認会計士から税理士・公認会計士資格を持ったコンサルタントとして活躍できるチャンスが増えます。
税理士・公認会計士の転職は事業会社・コンサルティングファームがおすすめの理由
税理士・公認会計士で転職を考えているなら事業会社やコンサルティングファームもおすすめの転職先です。
税理士事務所や監査法人だと当たり前ですが周りも資格所有者ばかりです。
せっかく税理士・公認会計士といった最難関の国家資格を取得したにもかかわらず同じ資格所有者の中で埋もれてしまいます。
事業会社おすすめの理由
事業を行っている一般企業であれば税理士・公認会計士といった資格は重宝されます。もちろん大企業ともなると自社に社内税理士・公認会計士がいますが、伸び盛りの企業の場合、管理部門の体制が整ってないところが多くあります。
開発部門や営業部門を強化する経営者は多いのですが管理部門の強化となると後回しになっていることも。企業が成長していく過程で管理部門の強化というのは欠かせないのですが創業経営者の場合、会計・財務に弱い人も多いので税理士・公認会計士資格をもった人が入社してくれるのは非常に心強いのです。
伸び盛りの企業に税理士・公認会計士の資格をもった人が管理部門に入ると責任者ポジションを狙うことができます。

コンサルティングファームがおすすめの理由
コンサルティングファームもおすすめです。
税理士事務所だと、顧問先の企業の月次決算、税務相談、決算書の作成と比較的決まった業務が多くなります。税理士事務所によっては新しい顧問先が毎年ほとんど増えない、といったところも多くあります。ただでさえ、AIや会計ソフトの進化により仕事が減ってくると言われているのに新しい仕事に関われないとスキルアップが望めません。
それに対してコンサルティングファームであればクライアントの事業戦略を考えたり、税務アドバイス・M&Aなどサポートしていきます。
税務会計に関する知識に加え、高度なコンサルティング能力、問題解決力、交渉力・プレゼン力とビジネスパーソンにとって高く評価されるスキルを身につけることが可能になるのです。

税理士・公認会計士の転職 まとめ
税理士・公認会計士の転職についてご紹介してきました。
会計ソフトの進化により税理士の仕事が奪われると言われたり、監査法人は景気に大きく左右されると言われ、何かと不安視される税理士・公認会計士の転職状況ですが、選択肢を広げて考えてみると、キャリアアップのチャンスがたくさんあります。
最難関の国家資格を所有しているのですから税理士事務所・監査法人以外でもその知識を活かしたいですよね。
一度選択肢を広げて転職先を考えてみてください。
また最近は税理士・公認会計士の転職に特化した転職エージェントも増えてきいます。それぞれおすすめの転職エージェントをご紹介しますのでぜひチェックしてみてください。
税理士特化の転職エージェント
人材サービス最大手のマイナビが手がける税理士特化の転職エージェントが
マイナビ税理士
です。
大手税理士事務所の紹介はもちろんのこと、事業会社や金融機関の転職案件も多数あります。
もちろん求職者が利用する分には無料ですので転職を考えているなら一度相談してみてはいかがでしょうか。
公認会計士特化の転職エージェント
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マイナビ会計士
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